バイオポリ乳酸ついて解説する。
バイオプラスチック開発例(5):ポリ乳酸:プラスチックの環境対応(7)
2026.04.20
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
ポリ乳酸(PLA:Polylactic acid)はトウモロコシ、サトウキビなどの植物から作られたバイオマスプラスチックである。また、PLAは生分解性プラスチックでもある。図にPLAの作り方とカーボンニュートラルの概念を示す。
図 ポリ乳酸の作り方とカーボンニュートラルの概念

図に示すように植物のデンプンからグルコースを作り、発酵させて乳酸にする。乳酸を化学合成してラクチドという化合物にする。この化合物を重合(開環重合)してPLAを作る。廃棄後に生分解されると2酸化炭素(CO2)と水(H2O)に還る。ただ、環境中にそのまま放置しても自然に分解するわけではない。コンポスト(堆肥)にして発酵熱と湿気の下で化学分解(加水分解)して低分子物に変化させたのち、微生物によってCO2とH2Oに生分解される。
PLAの主な特徴は次の通りである。
①バイオマスプラスチックであり生分解性プラスチックでもある。
②結晶性プラスチックである。
③結晶化させると耐熱性が向上する。
④生体適合性がある。
PLAは射出成形用途では配膳トレイ、使い捨て食器やカップ類などに使用されている。押出成形ではフィルム、シート、繊維・不織布などに加工されている。押出成形では、延伸操作によって結晶配向させることで機械的性質や熱的性質を向上させることができる。延伸ブロ―成形ボトルや真空・圧空成形容器にも使用されている。
標準PLAの物性値を表1に示す。
表1 標準PLAの物性

PLAは結晶化しにくいこと、結晶化させないと耐熱性が低いこと、衝撃強さが低いことなどの課題がある。これらの課題を克服するため次の材料が開発されている(表2)。
表2 PLAの材料開発例

□執筆者注
1)乳酸にはL体とD体がある。L体とD体の分子式は同じであるが、分子の立体構造が左右反対の構造になっており、向きを変えても重ならない。一般のPLAは、主としてL乳酸から作られているが、L乳酸からのPLAとD乳酸からのPLAをブレンドしたものがステレオコンプレックスである。同コンプレックスの結晶融点は標準PLAより約50℃高くなる。
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
