微生物産生系プラスチックであるポリヒドロキシアルカノエートついて解説する。
バイオプラスチック開発例(6):ポリヒドロキシアルカノエート:プラスチックの環境対応(8)
2026.05.20
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
微生物の体内で合成されるポリマーを、微生物産生系プラスチックという。ポリヒドロキシアルカノエート(PHA:Poly hydroxy alkanoate)は植物を原料とし微生物の体内で合成蓄積されたバイオマスプラスチックであり、生分解性である。
PHAにはポリヒドロキシブチレート(PHB::Polyhydroxybutyrate)や共重合タイプのポリヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート(PHBH:Polyhydroxybutyrate-co-hydroxyhexanoate)がある。ここでは、株式会社カネカが開発した「カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet」をもとに説明する(注1)。
PHBHは大豆油、コーン油、パーム油などの植物油を原料とし、培養により微生物体内で合成蓄積されたポリマーを精製・回収したものである。PHBHはHB(ヒドロキシブチレート)とHH(ヒドロキシヘキサノエート)の共重合比率によって物性は変化する。

表 カネカ生分解性バイオポリマー Green Planetの物性
品種にもよるが、主な特徴は次の通りである。
①バイオマスであり生分解性プラスチックである。
②結晶性プラスチックである。
③比較的耐熱性が高い。
④軟質のプラスチックである。
⑤ガス、水蒸気のバリア性が優れている。
生分解性については、PHBHは嫌気中、土壌中、海水中で生分解する特徴がある。図は海水中に放置したときの重量保持率の変化を調べた結果である。

図 生分解性プラスチックの海水浸漬による重量変化
(兵庫県高砂港、23℃海水)
ポリ乳酸(PLA)やポリブチレンサクシネート(PBS)は時間経過しても重量変化(保持率)しないので海水中で分解しないことが分かる。一方、PHBH、PHBH(CaCO3)は重量変化が大きく海水中で生分解が進行していることがうかがわれる。そのため、海洋流出マイクロプラスチック汚染低減に有効な解決策になることが期待されている。
成形法としてはインフレーション、Tダイ押出などのフィルムシート成形、射出成形、ブロー成形、繊維・不織布成形などが可能である。
用途については優れた生分解性を生かしてコンポスト用資材、農林水産用資材、土木建材用資材、食品容器や一般用包材などへの展開が期待されている。また、海水分解性を生かした環境保護・再生用資材や水産用資材への用途展開が進められている。
引用文献
(注1)福田竜司、プラスチックスエージ、63(12),p.59,プラスチックスエージ社(2017年)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
