世界全体のバイオマスプラスチックの生産状況について解説する。
世界におけるバイオプラスチック:プラスチックの環境対応(9)
2026.06.08
この記事では...
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
欧州バイオプラスチック協会は世界全体のバイオプラスチックの生産状況をまとめている。同協会では、バイオマスプラスチックをバイオベースー非生分解性(Biobased,non-biodegradable)とバイオベースー生分解性(Biobased,biodegradable)に分類している。両バイオプラスチックには次の種類がある。
◆バイオベースー非生分解性
・ポリアミド(PA) ・ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)
・ポリエチレン(PE ) ・ポリエチレンテレフタレート(PET)
・ポリプロピレン(PP) ・ポリエチレンフラノエート(PEF)
・芳香族ポリカーボネート(APC)
◆バイオベースー生分解性(BP)
・ポリ乳酸(PLA) ・でん粉を含むポリマー配合物(SCPC)
・ポリブチレンアジペートーテレフタレート(PBAT)
・ポリヒドロキシアルカノエート(PHA) ・セルロース誘導体(CR)
・ポリブチレンサクシネート(PBS)
・カゼインポリマー(CP)*
*牛乳タンパク質の主成分の1つであるカゼインを原料として作られるバイオマスプラスチック
ISO16620-2に基づいて、欧州ではバイオマスプラスチックを全炭素質量に占めるバイオマス由来炭素質量比率の下限値を20wt%としている。バイオマス由来炭素質量比率にはポリマーだけでなく天然物や添加剤中の炭素も含まれている。
欧州バイオプラスチック協会が2025年にアップデートした資料によれば、2024~2025年の生産能力実績と、2030年までの予測は図に示すとおりである(注1)。

世界のバイオマスプラスチック生産能力推移
世界の全プラスチック生産量は約4億トンであるので、2025年におけるバイオマスプラスチック生産能力231万トンで生産されたとすると、その比率は約0.5%である。また、2025年における生産能力2.31百万トンに対し、2030年予測は469万トンであるので、約2倍の生産規模に増産されると予測されている。
一方、2025年の用途別の生産能力比率では軟質包装材26.6%、硬質包装材14.7%、繊維21.3%、一般消費材14.0%、自動車・輸送10.3%、農業・園芸4.7%、電機・電子3.4%、その他5.0%とされている(注1)。全般的に包装材の用途比率が大きく、その中でも軟質包装材が大きい。材料はPE、PLA、PETなどが主に使用される。繊維関係(繊維と不織布)にも多く使用されており、特にPTTが弾性や耐久性の特徴を生かしてカーペットなどに使用されている。自動車・輸送関係ではPA11が耐油性や低温特性などが優れていることから燃料チューブなどに採用されている。
引用文献
(注1) European Bioplastics
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
