設計の際に気を付けたい、製品の肉厚について解説する。
肉厚対策:設計で対策する成形不良⑦
2026.07.01
この記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
ここまで成形不良に対して設計で対策をする方法を紹介してきましたが、今回いろいろな成形不良に対して対策をするための設計の基礎に触れていきます。
そのひとつが「肉厚」すなわち製品の厚みです。プラスチックの製品設計において、製品の「肉厚」は品質を左右する最も重要な要素の1つです。意匠性や強度を意識するあまり、肉厚の変化や極端な厚肉を見過ごしてしまうと、試作や量産段階で深刻な成形不良に悩まされることになります。
大原則としては可能な限り製品全体の肉厚を均一にすること「肉厚の均一化」が重要です。
射出成形では、金型内に充填された溶融樹脂が冷却・固化する際に必ず体積の収縮が起こります。肉厚が均一であれば全体が均等に冷えて収縮しますが、局所的に厚い部分や薄い部分が存在すると、冷却速度に差が生じてしまいます。この「冷却のアンバランス」こそが、あらゆる成形不良の引き金となります。

肉厚が不均一なことによる主な成形不良は、以下のような現象が挙げられます。
- ヒケ:厚肉部の中心が固まる前に表面が内側に引っ張られ、凹みが生じる現象。外観品質を著しく損ないます。
- ボイド(気泡):厚肉部の表面が先に固まり、内部の収縮によって空洞ができる現象。強度の低下を招きます。
- 反り・変形:肉厚の違いによる冷却速度の差から、内部に応力(残留応力)が残り、製品全体が歪みます。
構造上、どうしても肉厚を変化させなければならないこともあります。そのような場合は、急激な段差を避けて、緩やかに変化させるのが鉄則です。一般的に、肉厚の変化は「肉厚の変化量の3倍」を目安に、滑らかにつなぐ設計を心がけると良いとされています。

プラスチック製品の設計では「リブ」を配置して強度を確保することが一般的です。
このリブの設計に注意が必要になります。リブの根元(製品本体との接合部)は、どうしても局所的に肉厚が厚くなってしまうため、裏面に「ヒケ」が発生しやすくなります。これを防ぐためのリブの肉厚は一般の肉厚より7割ほど薄く設定をします。

- 基本肉厚は均一(等肉)にする
- 厚みを変えるなら緩やかに(テーパー配置)
- リブは基本肉厚の7割程度に抑える
以上を意識してプラスチック製品の設計を進めると手戻りの少ない製品設計ができるようになります。
(次回につづく)
著者
『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)
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