日本のバイオマスプラスチックの生産、利用状況について解説する。
日本におけるバイオプラスチック:プラスチックの環境対応(10)
2026.07.22
この記事では...
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
我が国における全プラスチック生産量はここ5、6年では約1,000万トンで推移している。一方、バイオプラスチックの生産量は徐々に増大している。(一社)日本バイオプラスチック協会の集計によれば、2023年におけるバイオプラスチック生産量は18.3万トンと推定されている(注1)。これは全プラスチック生産量の2%弱に当たる。内訳ではバイオマスプラスチック(PLAを含む)は10.4万トン(57%)、生分解性プラスチックは7.9万トン(43%)である。
日本バイオプラスチック協会は2006年からバイオマスプラスチックの認証制度を運営している(注2)。ポジティブリストに登録されているバイオマスプラスチックを使用し、そのバイオマス由来成分を25重量%以上含み、かつ別途定める使用禁止物質や特定有害物質の規定を満たした製品を「バイオマスプラ」として認証している。認証製品には表に示すロゴマークを付けて販売できる。
表 バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックのロゴマーク

また、同協会では生分解性プラスチックの認証制度も運営している。ISO規格やJIS規格に準じた生分解性試験や毒性試験の基準を満たしたプラスチックや添加剤をポジティブリストに登録しており、これらを配合して作られた製品を「生分解性プラ」として認証している。認証製品には表に示すロゴマークをつけて販売できる。また、海洋生分解性の認証基準を満たした製品には表に示すロゴマークを付けて販売できる。
バイオマスプラスチック(非生分解性)にはPE、PP、PET、PA11、PCなどがある。これらのバイオマスプラスチックは同種の石油由来プラスチックとほぼ同等の物性、成形性を有している。またリサイクルも可能である。
ただ、生産規模が小さいため材料単価が高いことが課題であり、単純な価格競争では市場開発が進まない。レジ袋が有料化され、バイオマス素材の配合率が25%以上のものは対象外となっているためバイオマスPEレジ袋の使用量は増大している。バイオマスPA11はPA6やPA66に比較して優れた特性(低吸水性、柔軟性、耐油性など)を有していることから、自動車の燃料チューブなどの用途に使用されている。また、バイオPCも耐擦傷性や耐候性の良さを生かして自動車内・外装品へ使用されている。
生分解性プラスチックは生分解という特長がある反面、耐久性は良くないので生分解性のメリットが生かされる分野に応用されている。
例えば、次の用途がある(注3)。
① コンポスト処理用の生ごみ袋、農園芸分野のマルチフィルムなどがある。
② 屋外で使用され、自然界への流出のリスクが高い製品に応用されている。代表例には漁具などの水産業資材、マリン用品、ワンウェイ食器などがある。
最後に、バイオプラスチックの将来の課題について述べる。PE、PET、PTTなどのバイオマスプラスチックの主要原料はサトウキビやトウモロコシなどの可食植物である。将来において需要が増大した場合には食料向けと競合する懸念がある。
また、我が国では、石油由来プラスチックは、ナフサ→基礎化学原料→モノマー→ポリマーを経て、国内で一貫生産されている。一方、バイオプラスチックの原料およびポリマーの大半は海外生産品である。需給タイトになった場合には供給上の問題が生じる懸念がある。
引用文献
- 注1 山田秀夫、プラスチックス、77(1)、p.51、日本工業出版(株)(2026)
- 注 2 日本バイオプラスチック協会
- 注 3 森浩之、化学工学、87(2),p.55~58、化学工学会(2023)
プロフィール

本間精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。 退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

PlaBase編集部
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