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JIS で理解する表面粗さの指示方法 ― 図面記号の正しい読み方:機械製図道場(中級編 20)

2026.08.05


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この記事では...

JIS 製図の幾何公差について一から解説。引き続き、幾何公差と関連して、表面粗さについて。今回は、表面粗さの指示方法です。

(執筆:土橋美博//DOBASHI DESIGN LAB)

>>前回

前回は、表面粗さとは何か、その基本的な考え方について解説しました。表面粗さは、単に「表面を滑らかに仕上げるため」の指示ではなく、摺動性やシール性、耐摩耗性など、部品に求められる機能を実現するための重要な品質特性であることを説明しました。また、寸法精度が図面どおりであっても、表面粗さが適切でなければ、部品本来の性能を十分に発揮できない場合があることもご紹介しました。

では、その表面粗さを設計者はどのように図面へ指示すればよいのでしょうか。また、加工担当者や検査担当者は、その指示内容をどのような基準で解釈すればよいのでしょうか。

設計者ごとに異なる記号や表現で表面粗さを指示してしまえば、加工方法や検査基準にばらつきが生じ、品質トラブルの原因となります。そのため、表面粗さの記号や記入方法、評価方法は、日本産業規格(JIS)によって統一されています。

今回は、表面粗さに関する代表的な JIS 規格を紹介するとともに、図面で使用される表面性状記号の意味や記入方法について解説していきます。JIS の考え方を理解することで、図面から設計者の意図を正しく読み取り、また自身の設計意図を加工現場へ正確に伝えられるようになります。

表面粗さに関する JIS 規格

表面粗さに関する JIS 規格はいくつか存在しますが、機械設計者がまず理解しておきたい代表的な規格は、JIS B 0031 と JIS B 0601 です。この 2 つの規格は役割が異なるため、それぞれの目的を理解して使い分けることが重要です。

JIS B 0031「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:表面性状の指示方法」

図面へ表面粗さをどのように記入するかを定めた規格です。表面性状記号の形状をはじめ、数値の記入位置、追加情報の表し方などが規定されており、設計者が加工現場へ品質要求を伝えるためのルールブックといえます。

JIS B 0601「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語、定義及び表面性状パラメータ」

表面粗さをどのような指標で評価するかを定めた規格です。図面でよく使用される Ra(算術平均粗さ)や Rz(最大高さ)といった表面粗さパラメータの意味や評価方法は、この規格によって定義されています。JIS B 0031 は「どのように図面へ記入するか」を定めた規格、JIS B 0601 は「何をどのように評価するか」を定めた規格です。この違いを理解しておくと、それぞれの役割が分かりやすくなります。

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図1 表面性状の図示記号(JIS B 0031より抜粋)

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図2 表面性状の要求事項の支持方法(JIS B 0031より抜粋)

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表1 Ra(算術平均粗さ)について(筆者編集)

例えば、設計者が図面に「Ra 1.6」と記入した場合、加工担当者は要求される表面粗さを満足する加工方法を選定し、検査担当者は JIS B 0601 で規定された方法に従って測定を行います。このように、設計・加工・検査のすべての工程が同じ基準で品質を判断できることが、JIS 規格を採用する大きな目的です。
さらに、現在の JIS 規格は国際規格である ISO GPS(Geometrical Product Specifications)との整合が図られています。そのため、日本国内だけでなく海外メーカーや海外工場との図面のやり取りにおいても、共通のルールとして利用されています。ものづくりのグローバル化が進む現在では、JIS を理解することは、国際的
な製図ルールを理解することにもつながります。


なお、筆者もそうですが、ベテラン設計者の中には「25S」や「▽▽▽」といった旧 JIS の表記に馴染みのある方も少なくありません。しかし、現在の JIS では表面粗さは Ra や Rz などのパラメータで表現することが基本となっており、図面表記も国際規格との整合を図る形へと変わっています。古い図面を扱う機会もあるため、旧 JISと現行 JIS の違いを理解しておくことも設計者には求められます。

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表2 表面粗さ表示の新旧比較(参考)

次回は、JIS B 0031 で規定されている表面性状記号について詳しく解説します。


一見するとシンプルな記号ですが、そこには「除去加工が必要か」「除去加工を行ってはならないか」など、設計者の重要な意図が込められています。記号の意味を正しく理解することが、図面を正確に読み取り、設計意図を確実に伝える第一歩となります。(次回へ続く)

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土橋 美博(どばし・よしひろ)

⁠3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。