設計の際に気を付けたい、成形品の白化現象について解説する。
白化現象:設計で対策する成形不良⑧
2026.08.26
この記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
白化現象とは
白化現象とは、射出成形品の表面の一部が白く変色してしまう現象のことです。
白化現象は外観品質を損なうだけでなく、成形品内部にミクロな損傷が生じているサインでもあるため、製品強度の低下にもつながる深刻な成形不良の1つです。
設計視点での発生原因としては、「離型時に製品へ加わる過度な負荷」にあります。そのため、製品設計・金型設計の段階で対策を講じておくことが非常に重要です。

成形品における白化現象は、樹脂内部に強力な引張ストレスや曲げストレスが加わった際に生じます。
樹脂に強い力が加わると、内部に微細な亀裂が発生します。この微細な構造変化に光が当たると複雑に乱反射を起こし、人間の目にはその部分が白く濁ったように見えます。これが白化現象の物理的なメカニズムです。
成形プロセスにおいて、白化が最も発生しやすいタイミングが「金型からの突出(離型)」の瞬間です。
突き出しピンによる過度な局所圧力:
抱きついた製品を金型から押し出す際、突出しピンが当たる部分に集中して強力な機械的負荷がかかります。
引っかかり・こすれ: 離型時の抵抗が大きいと、製品の立ち上がり面やアンダーカット付近が擦れ、過度な引張・せん断応力が発生して白化に至ります。
設計上の対策
白化を防ぐには、離型時に製品へかかるストレスを最小限に抑える設計が欠かせません。特に重要なアプローチが、「抜き勾配の適正化」と「突出し位置・方法の最適化」です。
対策①:適切な「抜き勾配」の設定で離型抵抗を下げる
離型時の摩擦と抵抗を減らす最も基本的かつ効果的な手法が、十分な「抜き勾配(勾配角)」の確保です。抜き勾配が適切に付与されていれば、突き出しピンが製品をわずかに押し動かした瞬間に金型と製品の間に隙間ができ、摩擦抵抗がほぼゼロになります。

対策②:剛性の高い位置に適切な形状・数量で突出しピンを配置し、圧力を分散させる
突出しピンによる「点の圧力」を緩和し、荷重を分散させる設計工夫も不可欠です。
薄肉部やフラットな面の中央を突き出すと、面自体がたわんで大きな曲げ応力が発生し、白化しやすくなります。突出しピンは、壁面付近やボス・リブの交点など、構造的に曲げ剛性が高い位置に配置します。
また、細い丸ピン1本で受けると局所的な圧力が大きくなり白化しやすくなります。製品全体を均一な力で押し出せるよう、ピンのサイズや配置バランスを最適化します。一部のピンだけに荷重が集中すると、その部分から白化が始まります。

この2点を考慮して製品設計・金型設計を進めることで、白化不良を防ぐことができるようになります。
(次回につづく)
ライタープロフィール
落合孝明(おちあいたかあき) 1973年生まれ。株式会社モールドテック代表取締役(2代目)。デザインとエンジニアリングの両面から製品開発の支援をする設計屋。アイデアや現品からのデータ製作や製造手配まで製品開発全体のディレクションを行っている。文房具好きが高じて立ち上げた町工場参加型プロダクトブランド『factionery』では、第27回日本文具大賞機能部門優秀賞を受賞している。
著者
『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)
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