プラスチック射出成形工程におけるリサイクルについて解説する。
プラスチックのリサイクル(2)―成形工程リサイクル:プラスチックの環境対応(12)
2026.09.02

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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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製造工程(成形工程)で発生する廃材をリサイクルすることをポスト・インダストリアル・リサイクル(PIR:Post-Industrial Recyced)と称している。PIRは射出成形、押出成形、ブロ―成形、真空成形などで行われているが、ここでは射出成形について述べる。
PIRはリサイクル材を同一用途に再使用する水平リサイクルが中心である。
射出成形では成形時に発生したスプル、ランナー、再使用可能な不良品などを粉砕したリサイクル材を用いて再成形する。図1に示すように成形ラインで粉砕してそのまま新材(バージン材)に混合して成形する方法(以下A法という)と、粉砕品をペレットに加工した後に成形する方法(以下B法という)がある。

図1 成形工程リサイクルの概念図
A法は成形直後に粉砕して再成形するので粉砕品の予備乾燥は必要ない。このケースで は1回の射出成形で1回の熱履歴を受ける。
B法は粉砕品を押出機でペレットにしたのちに再成形する。ペレットに再加工(リペレット)すると粒度ばらつきが少なくなるため射出成形時の計量時間変動が少なくなる利点がある。ただし、リペレット工程と射出成形工程を経るので熱履歴を2回受けることになる。
リサイクルを繰り返すとそれだけ熱履歴を多く受ける。その過程で熱酸化により変色を伴いながら徐々に分子量が低下する。分子量が大きく低下すると強度も低下する。また、分子量低下すると流動性が変動するため成形条件が不安定になる。特に、熱安定性が良くないプラスチックはリサイクルを繰り返すと変色、強度低下、成形不安定などが起きやすいことにも留意しなければならない。
PIRではリサイクル材を一定比率で新材に混合して成形するのが一般的である。しかし、1ショットに占めるスプル、ランナーの質量比率が高いほど、リサイクル材の混合比率を高くせざるを得ない。そのため物性値の低下を招くことがある。
図2にリサイクル材の混合比率と物性値(色相、強度、寸法)の概念図を示す。

図2 リサイクル材の混合比率と物性の関係概念図
図のようにリサイクル材を新材に混合して成形する方法では、混合したリサイクル材の1部は成形品となるためリサイクルを繰り返すと物性値は一定の値に近付く傾向がある。その場合、リサイクル材の混合比率が高いほど一定値に達したときの物性値は低くなる。
一方、リサイクル材100%で成形する場合にはリサイクル回数とともに物性値は低下するので注意しなければならない。
プロフィール

本間精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。 退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

PlaBase編集部
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