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成形品設計 ここがポイント!(その2) ―製品の設計―

2018.02.14

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⁠製品設計で押さえておきたい3つの留意点

製品は、できるだけ均一肉厚に設計する

1つの製品の中で肉厚が薄い箇所と厚い箇所があると、型内圧や冷え方に差が生じるため、収縮バラつきや厚肉部のひけ1)などの不良が発生します。図1のように厚肉部は肉盗みをし、できるだけ均一肉厚にすることが設計の第1歩です。

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図1 均一肉厚の設計例

製品肉厚を踏まえてゲート位置や数を決める

流れやすい材料もあれば、流れにくい材料もあります。流れにくい材料で成形する場合には、ゲート位置や数を充填しやすいように設計することが必要です。設計がよくないときには未充填不良2)が発生します。

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図2 ゲート位置と最長流れ距離の概念図

図2は、ゲート位置と数によって流れ距離がどう変わるかを示した概念図です。2(a)は1端に1点ゲートを設けた場合、2(b)は長手方向の中央に1点ゲートを設けた場合、2(c)は長手方向に2点ゲートを設けた場合です。同図からわかるように最長流れ距離で比較すると、 2(a)>2(b)>2(c)となります。従って、流れにくい材料で成形する場合には2(c)または2(b)を採用することがよいことがわかります。ただし、後述するように、2(c)の場合は2点から流入した溶融樹脂が合流する位置にウェルドラインが発生します。

コーナにはアールを付ける

製品に外力を加えると、製品形状が急変する箇所に大きな応力3)が発生します。この現象を応力集中といいます。図3に示すL字状製品に外力を加えると、内側のシャープコーナに応力集中するため簡単に割れることがあります。もちろん、成形上でも流れ方向が急変する箇所では流れが乱れるため外観不良が発生することもあります。

このような不良を防止するため、コーナには0.3mm~0.5mmR程度のアールを設けることが推奨されます。

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図3 コーナー部における応力集中

製品によってはさらに注意が必要です

荷重変形が問題になるときはリブを設ける

金属(鉄、銅合金、アルミ合金など)製品をプラスチックに置き換える場合には、プラスチックは弾性率4)が低いため、荷重変形が大きいことが問題になることがあります。肉厚を厚くすれば、ある程度解消しますが、逆にひけが発生しやすくなること、材料費アップなどの問題点が生じます。

対策として、外力がかかる面の反対面にリブを設けて補強する方法があります。ただ、リブを設けるとリブ裏面にひけが発生しやすくなるので、図4に示す基準に基づいて設計することが推奨されます。

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図4 リブ形状と設計基準

ウェルドラインの発生に注意する

多点ゲートやキャビティに流動障害箇所がある製品では溶融樹脂が合流するところにウェルドラインが発生します。写真は、2点ゲートで成形したときに発生したウェルドラインです。ウェルドラインがあると強度低下や外観不良になります。

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写真 2点ゲートで発生したウェルドライン

溶融樹脂が合流する場合にはウェルドラインが発生することは避けられませんが、強度や外観が問題にならない位置に発生するように、ゲート位置や肉厚分布に留意して設計する必要があります。

 

1)ひけは厚肉部内部の体積収縮によって内部から引っ張られるため表面が凹面になる現象である。

2)未充填は溶融樹脂がキャビティに部分的に充填されないため、製品形状通りに成形できない現象である。

3)応力(MPa)は外力(N)を成形品断面積(mm2)で割った値である。応力が材料の破壊強度を上回ると破壊する。

4)弾性率(MPa)は応力をひずみで割った値である(フックの弾性限度内)。弾性率が大きいほど、外力(荷重)を負荷したときの変形は小さくなる。なお、ひずみは変形量を初期長さで割った値である。

 

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>>>>連載「成形品設計ここがポイント!」一覧 


⁠本間精一氏プロフィール

【略歴】

1963年、東京農工大学工学部工業化学科卒業。三菱江戸川化学(株)[現・三菱ガス化学(株)]入社。ポリカーボネートの応用研究、技術サービスなどを担当。1989年、プラスチックセンターを設立、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性PPEなどの研究に従事。1994年、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の設立に伴い移籍。技術企画、品質保証、企画開発、市場開発などの部長を歴任。1999年、同社常務取締役。2001年、同社退社。本間技術士事務所を設立。

〈主な著書〉

『やさしいプラスチック成形材料』(三光出版社)/『知っておきたいエンプラ応用技術』(三光出版社)/『プラスチック製品の強度設計とトラブル対策』(エヌ・ティ・エス)/『プラスチックポケットブック』(技術評論社)/『設計者のためのプラスチックの強度特性』(丸善出版)/『射出成形特性を活かすプラスチック製品設計法』(日刊工業新聞社)/『実践 二次加工によるプラスチック製品の高機能化技術』(エヌ・ティ・エス)/『プラスチック材料大全』(日刊工業新聞社)

本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数