失敗しないプラスチック材料の選び方
2018.02.20主なプラスチックの分類を図1に示します。それぞれの分類ごとにいろいろな種類の材料やグレード(品種)があります。このように材料の種類は非常に多いので、それらの中から最も適した材料を選ぶのは大変な作業です。材料の一般的な選定手順を図2に示します。

図1 主なプラスチックの分類

図2 材料選定の手順
材料選定の進め方
①製品の要求項目を調べる
まず、プラスチック化する対象製品の要求事項を調べることが第1歩です。例えば、強度、使用温度、機能(表面硬さ、摩擦摩耗、燃焼性、電気特性)、環境劣化(熱、温湿度、紫外線、薬品)および寿命など、さらに、成形性、環境安全、材料単価なども重要は項目です。
②候補材料を選定する
材料の物理的性質、機械的性質、熱的性質、化学的性質、電気的性質などのデータを一覧表にまとめたものが物性表です。樹脂メーカーが公表している物性表を基にして、要求事項を満足しそうな材料を何種類か選定します。PlaBase.comなどで検索すると、複数の樹脂メーカーのプラスチック成形材料を横比較することも可能です。
環境劣化、成形性、環境安全などは物性表には記載されていませんので、樹脂メーカーから関連技術資料を入手するか、直接問い合わせる必要があります。要求事項をすべて満足する材料があれば決定できますが、無い場合は、満足しそうな候補材料をいくつか選定します。
③類似用途での使用実績を調べる
全く新しい材料を採用する場合は別ですが、通常は市販材料の中から選定するのが一般的です。市販材料であれば、すでに市場で製品として使用された実績があります。対象製品と類似用途で使用された実績があれば、過去における使用条件、製品寿命、実用上の不具合などを可能な限り情報収集すると材料選定の決め手になります。これらの情報は樹脂メーカーが収集されていることが多いです。
④実用試験によって候補材料を絞り込む
②、③の段階を経て1つの材料に絞り込むことができれば、成形品・製品設計の段階に移ります。一方、絞り込むことができない場合には、いくつかの候補材料について、次の方法で実用試験を行って最適材料を絞り込みます。
a) 試験片を用い、使用条件に即した試験を行って実用化の可否を検討する。
b) 試作品(切削加工品、簡易型成形品、3Dプリンティング品など)を用いて実装試験を行い実用化の可否を検討する。
c) a)とb)を併用して実用化の可否を検討する。
もし、これらの実用試験で要求事項を満足できない課題が見つかれば、材料の改良を樹脂メーカーに依頼することが必要になります。
材料選定の注意点
①材料物性は1次選定の目安にすべきです
材料物性は、図3に示す単純形状の試験片を用いて測定します。 物性値は、ISOまたはJISに規定された条件で測定された値です。実際の製品では、製品設計、成形品設計、成形条件などの影響が加わるため材料物性よりも低い値になることがあります。従って、材料物性値は材料選定の1次目安と考えるべきです。

図3 試験片形状
②材料物性の測定条件に注意する
材料物性は測定条件によって値は異なりますので、同じ条件で測定された値を横比較することが必要です。測定条件が明記されていない物性値は比較データに用いないことをおすすめします。
③配合剤を練り込むと物性変化することがあります
一般的に、材料物性は標準材料を用いたときの測定値です。配合剤(添加剤、着色剤など)の種類や添加率によっては標準材料とは異なる物性に仕上がることがあります。
本間精一氏プロフィール
【略歴】
1963年、東京農工大学工学部工業化学科卒業。三菱江戸川化学(株)[現・三菱ガス化学(株)]入社。ポリカーボネートの応用研究、技術サービスなどを担当。1989年、プラスチックセンターを設立、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性PPEなどの研究に従事。1994年、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の設立に伴い移籍。技術企画、品質保証、企画開発、市場開発などの部長を歴任。1999年、同社常務取締役。2001年、同社退社。本間技術士事務所を設立。
〈主な著書〉
『やさしいプラスチック成形材料』(三光出版社)/『知っておきたいエンプラ応用技術』(三光出版社)/『プラスチック製品の強度設計とトラブル対策』(エヌ・ティ・エス)/『プラスチックポケットブック』(技術評論社)/『設計者のためのプラスチックの強度特性』(丸善出版)/『射出成形特性を活かすプラスチック製品設計法』(日刊工業新聞社)/『実践 二次加工によるプラスチック製品の高機能化技術』(エヌ・ティ・エス)/『プラスチック材料大全』(日刊工業新聞社)

PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。
