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プラスチックの構造と特性を理解しよう

2018.02.20

この記事では…

プラスチックの構造と特性について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

ポリマーとプラスチックは違う

ポリマー(高分子)は短い分子を合成反応によって繰り返し結合した長い鎖状分子です。分子の長さを分子量(平均分子量)で表しますが、一般的に分子量10,000以上のものをポリマーと称しています。

JIS用語の定義では、プラスチックは「必須の構成成分としてポリマーを含み、かつ完成製品へのある段階で流れによって形を与え得る材料」となっています。分かりやすく表現すれば、ポリマーを必須構成成分とした成形可能な材料です。従って、繊維、ゴム、塗料などもポリマーですがプラスチックには含まれません。

 

熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックに大別されます

①熱可塑性プラスチックとはどんな材料か

可塑性とは、力を加えると変形し、力を除いても元に復元しない性質をいいます。加熱すると可塑性を示すプラスチックが熱可塑性プラスチックです。熱可塑性プラスチックはポリマーを主原料にして、必要に応じて添加剤、充填材、着色剤などを加えた成形材料です。

熱可塑性プラスチックの概念図を図1に示します。図のようにポリマーの集合体であり、ポリマー間には絡み合いもあります。ポリマーは共有結合(一次結合)と呼ばれる強い結合力で結びついています。一方、ポリマー間は主にファンデルワールス結合と呼ばれる弱い結合力で結びついています。また、ポリマーの絡み合いも結合力に寄与しています。そのため、熱可塑性プラスチックの強度はポリマー間の結合力と絡み合いによって生まれます。

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図1 熱可塑性プラスチックの概念図

熱可塑性プラスチックは温度上昇に伴いポリマーの熱運動が活発になり、ポリマー間隔が拡がるので結合力が弱くなります。そのため、温度上昇に伴って強度は低下し、やがて可塑性を示すようになります。冷却すると熱運動は次第に不活発になり、ポリマー間隔が近接するため結合力が強くなり固化します。

熱可塑性プラスチックは射出成形、押出成形、ブロ―成形、延伸ブロー成形、真空成形などの成形法でいろいろな形に加工でき、生産性も優れ、再生材の再成形もできます。

②熱硬化性プラスチックとはどんな材料か

熱硬化性プラスチックは、成形材料の段階では流動性を示して成形でき、加熱すると硬化するプラスチックです。一たん硬化すると加熱しても流動しなくなります。

図2は熱硬化性プラスチックの概念図です。分子量の小さいプレポリマーに硬化剤、必要に応じて添加剤、充填材、着色剤を加えた成形材料を用います。ある温度で加熱すると可塑性を示し成形でき、さらに加熱すると硬化剤がプレポリマーに反応して、図のように橋かけ構造(架橋構造)になります。分子間に橋が架かった構造であるので網状ポリマーとも呼ばれています。架橋構造になることで見かけ分子量は増大します。架橋分子は強固な共有結合をしているので、ポリマーの熱運動は制約されます。そのため、再度加熱しても可塑性を示さなくなります。

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図2 熱硬化性プラスチックの概念図

熱硬化性プラスチックは圧縮成形、トランスファー成形、積層成形などの成形法で加工できます。製品の強度や耐熱性は優れていますが、成形サイクルが長いこと、再生材を再度成形できないことなど生産上に課題があるため、熱可塑性プラスチックに比較して使用量は少ないです。

 

本間精一氏プロフィール
【略歴】

1963年、東京農工大学工学部工業化学科卒業。三菱江戸川化学(株)[現・三菱ガス化学(株)]入社。ポリカーボネートの応用研究、技術サービスなどを担当。1989年、プラスチックセンターを設立、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性PPEなどの研究に従事。1994年、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の設立に伴い移籍。技術企画、品質保証、企画開発、市場開発などの部長を歴任。1999年、同社常務取締役。2001年、同社退社。本間技術士事務所を設立。

〈主な著書〉

『やさしいプラスチック成形材料』(三光出版社)/『知っておきたいエンプラ応用技術』(三光出版社)/『プラスチック製品の強度設計とトラブル対策』(エヌ・ティ・エス)/『プラスチックポケットブック』(技術評論社)/『設計者のためのプラスチックの強度特性』(丸善出版)/『射出成形特性を活かすプラスチック製品設計法』(日刊工業新聞社)/『実践 二次加工によるプラスチック製品の高機能化技術』(エヌ・ティ・エス)/『プラスチック材料大全』(日刊工業新聞社)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数