PlaBase

射出成形機と金型の関係性(1):射出成形の基本(7)

2020.04.07

Image

今回の記事は…

今回は、射出成形機の仕組みについて解説する。射出成形機の中で金型がどのように使われるのか、理解しよう!

Image

金型は製品を量産する上で非常に重要であるが、成形機に取り付いて初めてその役割を果たす。射出成形機に取り付けなければ金型としては機能しない。金型の設計をするためには、射出成形機の仕組みを最低限知っておこう。

Image

【 射出成型機の基本構造 】

上図は成形機を簡略化した図である。成形の流れとしては次のようになる。

1. 乾燥して十分に水分を飛ばした状態のペレット状の樹脂原料を射出成形機に入れる。
2. 樹脂はホットチャンバー内で熱せられることで固定から液体に変わる。
3. 液体になった樹脂はスクリュを通って金型へ射出される。
4. 金型内で樹脂が充填・冷却固化されると金型が開く。
5. 金型から製品を取り出した後、型を閉じ再び成形を繰り返す。

この動作の繰り返しによって成形を繰り返す。

金型に樹脂が射出されるときには金型を開こうとする力が働く。成形に使用する成形機はこの金型を開こうとする力より大きな型締力を持った成形機が必要となる。もし、型締力の方が小さい場合にはその成形機では金型を抑えられないので、成形時に金型が開きバリが発生してしまう。

射出成形機はさまざまなメーカーから販売されているが、基本的にはこの型締力によって分類されている。例えば、300トンの成形機と言ったら、「300トンの力で金型を締め付けられる」という意味になる。

Image

【 投影面積と型締力の関係性 】

射出時に金型を開こうとする力は、製品とランナーを合計した樹脂部の全投影面積と使用している樹脂の樹脂圧力から下記の公式で求めることができる。

金型を開こうとする力T(kgf) = 投影面積A(cm2) × 樹脂圧力P(kgf/cm2)

この金型を開こうとする力より型締力はは大きくなければならないのだから、つまり、

必要な型締力(kgf) > 金型を開こうとする力(kgf)
すなわち
必要な型締力(kgf) > 投影面積(cm2) × 樹脂圧力(kgf/cm2)

となる。

例えば、投影面積がランナーを含めて150(cm2)、樹脂圧力を350(kgf/cm2)とすると、以下となる。

150(cm2)☓350(kgf/cm2)=52500(kgf)=52.5(tonf)

安全率を80%とすれば、以下となる。

52.5(tonf)/0.8=65.6(tonf)

上記の計算結果より、この製品に必要な成形機の型締力は65.6ton以上の成形機ということになる。

次回へ続く

金型は射出成形機に取り付けて使用するため、金型には成形機の仕様を反映させなければならない。成形機の仕様で金型に影響するものは主に次のような項目がある。

Image


各項目の詳細については次回で詳しく触れたいと思う。

Image

>>>>連載「射出成形の基本」一覧 



⁠<過去の記事>

Image

Image

Image

Image

落合 孝明(おちあい・たかあき)

1973年生まれ。株式会社モールドテック代表取締役(2代目)。デザインとエンジニアリングの両面から製品開発の支援をする設計屋。アイデアや現品からのデータ製作や製造手配まで製品開発全体のディレクションを行っている。文房具好きが高じて立ち上げた町工場参加型プロダクトブランド『factionery』では、第27回日本文具大賞機能部門優秀賞を受賞している。

著書:『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』 (日刊工業新聞社)

筆者サイトWebページフェイスブック