射出成形の基本について解説する本連載。今回は、成形機の仕様において金型設計に影響する項目について紹介する。
射出成形機と金型の関係性(2):射出成形の基本(8)
2020.05.12
今回の記事は…
前回は、成形機の仕様において金型設計に影響する項目について表を用いて解説した。今回はその各項目について詳しく説明していく。
金型の取り付け寸法
金型は一般的に、クレーンなどにくくりつけて金型を吊り上げ、成形機の上方から取り付ける。そのため金型の幅寸法が成形機のタイバー(下図:金型開閉のためのガイドになる支柱)の内幅寸法よりも小さい必要がある。

【 金型の取付寸法 】
金型の横幅(操作・反操作方向) a < 成形機のタイバーの内幅 b
金型の幅寸法がタイバーの内幅寸法よりも大きい場合でも、一定の条件を満たせば金型を回転させることで取り付け可能となる場合もある。
金型の厚み
金型の厚みは、型板構成や金型強度、エジェクターストロークなどによって決まる。使用する成形機により、金型の最大および最小の型厚が定められている。よって型厚は、成形機の仕様の範囲内に収める必要がある。
ロケートリング径
ロケートリング(下図:金型と成形機を位置決めするためのリング)は金型と成形機の位置決めの役割をする。

【ロケートリングの径】
プラテンは射出成型機に金型を取り付けるための盤状の機構のことである。固定側と可動側がある。また成形機の固定プラテンに開いている穴径によってロケートリングの径が決まる。
ロケートリングの径 ΦV-0.1-0.3= 成形機固定プラテン穴径 ΦVH7
固定側プラテンの中心にあいている穴径は一般的にH7の高精度で開けられているので、その径にあったロケートリングを金型に設定する。
ノズル部寸法

【スプルーブッシュの寸法】
ノズルは樹脂材料を射出する部位である。ノズルを通る樹脂は、スプルーブッシュから金型へ流し込まれる。スプルーブッシュの穴径およびノズルタッチ部Rは、成形機に付いているノズルの穴径及び先端のRによって決まる。通常は成形機に対して金型側を0.5mm~1mm程度、大きく設定する。
穴径D = 成形機のノズル穴径d + (0.5~1)mm
ノズルタッチR = 成形機のノズル先端r + (0.5~1)mm
なお、成形機側を大きく設定してしまうと、成形機のノズルがスプルーブッシュから浮いてしまう。そうすると樹脂がノズル先端から漏れてしまい、離型不良、金型破損などの原因となるので注意すべきである。
突出し部寸法(エジェクターロッドの位置)
金型の突出板(成型品を取り出すための機構の一部)を突き出すための押出しロッド(エジェクターロッド)の位置及び径は成形機によって決まっている。金型では成形機のエジェクターロッド位置に当たるところに干渉物がないように設計をしなければならない。
200トン以下の小型成形機の場合、突き出し部は中央1カ所で問題ないことが多い。それより大きな成形機であれば、複数箇所に突き出し部を設けてバランス良く使用することになる。
(次回へ続く)

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