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ポリマーの絡み合いと熱可塑性プラスチックの強度:プラスチックの強度(2)

2020.09.15

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この記事では…

「プラスチックの強度」について解説する本連載の2回目は、ポリマーの結合力や熱可塑性プラスチックの強度について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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図1に示すように、プラスチックは長鎖の線状分子(ポリマー)が集まったものである。ポリマーの間には絡み合いもあり、ポリマーの長さが長いほど絡み合い数は多くなる。

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プラスチックに力を加えると内部には応力が発生する。この応力にはポリマーの結合力(注1)、ポリマ―間の結合力(注1)、ポリマーの絡み合い数などが関係する。

ポリマーは図2で示すように、共有結合という強い結合力で結びついている(注2)。

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一方、ポリマ―間は「ファンデルワールス結合」という弱い結合で結びついている(図3、注3)。

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一般にファンデルワールス結合力は共有結合力の約100分の1と言われている。このようにポリマーの共有結合力に比較してポリマー間のファンデルワールス結合力は低いので、応力が大きくなるとポリマーが切断して破壊する前に、ポリマ―間から亀裂が発生または絡み合いが解れながらずれて破壊する。また、ポリマ―間に絡み合い数が多いほど解れにくいので破壊しにくくなる。従って、プラスチックの強度はポリマー間のファンデルワールス結合力とポリマーの絡み合いによって生まれることになる。

一般に、ポリマー同士が引き合う力(ファンデルワールスの分散力)は次式で表される。

ファンデルワールスの分散力

F∝1/D6
F:分散力  D:分子間距離(ポリマー間の距離)

 

同式からポリマー間隔Dが大きくなると、その6乗に反比例してポリマー同士が引き合う力は小さくなる。

熱可塑性プラスチックを加熱するとポリマーの熱運動が活発になり、ポリマーの間隔Dが大きくなるので6乗に反比例して引き合う力が小さくなる。その結果、強度は低くなる。さらに昇温すると、引き合う力は極めて小さくなり溶融状態になる。逆に、降温するとポリマー間が近接することで引き合う力は大きくなり、強度が高くなる。これが熱可塑性を示すゆえんである。

次回は、プラスチックと粘弾性について解説する。

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筆者注:

注1:正確には単位距離を変位させるに要する力であるので結合エネルギーとすべきであ
るが、ここでは結合力と表現する。

注2:図2の概念図に示すように、共有結合はポリマーを構成する原子の原子核が電子を共有して結合している。電子を共有することで、原子間の強い結合力が生まれる。

注3:図3の概念図に示すように、原子核の周りを回る電子が、図のような位置になった瞬間に、プラスとマイナスが引き合うことでファンデルワールス結合が生まれる。プラスとマイナスのずれを双極子という。化学結合論では、ファンデルワールス結合力は双極子の揺らぎによって生じると言われている。


本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数