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プラスチック製品でトラブル急増のなぜ

2018.05.17

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この記事では…

プラスチック製品でトラブルが急増している理由について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)


社内に設計・成形のベテランがいなくなった

最近ではCAEによる強度、流動、冷却、収縮などの解析ソフトを用いてシミュレーションできるので、初心者でも設計・成形の検討が比較的容易になっています。しかし、開発した製品にトラブルが発生すると原因がつかめず苦労することが多くなっています。例えば、顧客で使用していたら簡単に割れてしまったというクレームが発生した場合には、成形材料(以下材料という)、製品設計、金型設計、成形条件、使用条件のどれに原因があるか調べる必要があります。以前ですと、社内に製品トラブルに関し経験豊富なベテランがおりましたので、比較的短期間で原因究明と対策ができました。しかし、現在ではベテランを育てるだけの人的余裕がなく、かつベテランもすでに定年退職して社内にいなくなったことなどから、経験の浅い初心者で対応することを余儀なくされます。一般的に、トラブルは材料、製品設計、金型設計、成形条件、使用条件などが複雑に絡み合って起こるので、相当経験を積み重ねないと解決策を見つけることが難しいです。

ワンポイントアドバイス

トラブルは使用材料の短所から発生するので、短所をよく勉強することが大切です。短所の中に原因究明のヒントがあります。樹脂メーカーは自社材料の長所はよく説明しますが、残念ながら短所を説明することは少ないです。

海外生産が多くなった

高度な技術を要しない部品または製品は、コスト低減のため労務費の安いアジア圏へ生産を移行する傾向にあります。現地で受注した会社が現地調達した材料を用いて成形し、部品または半製品にしたものを、日本国内で最終製品にして国内外に販売することになります。当然、最終製品に対する品質保証責任は販売した会社にありますので、顧客で品質問題が起これば対応しなければなりません。しかし、現地の会社における材料の作り方や成形条件などの詳細状況がわからないため、対策に苦慮することが多くなっています。
成形条件の確認は比較的容易ですが、現地で調達された材料の内容がわからないので対策に困ることが多いです。図1に、材料の製造工程の例を示します。図のように、重合工程で製造した素材(ポリマー)に、必要に応じて添加剤、着色剤などの配合剤を混ぜて押出機で溶融・混錬して材料(ペレット)を製造します。この場合、材料の品質は配合剤の種類や添加率、押出製造条件などに左右されることに注意する必要があります。

ワンポイントアドバイス

現地で本格生産を始める前に材料の製造現場を視察し、配合剤の種類と添加率、製造条件、品質管理方法などをチェックすることをお勧めします。

国内生産では、厳しい品質を要求される製品が多くなった

材料、射出成形機、金型などがそろえばモノづくりができる部品または製品は海外に生産が移っており、国内では厳しい品質を求められる薄肉品、高寸法精度品、光学部品などが多くなっています。
例えば、カメラ、複写機など内部機構部品などでは厳しい寸法精度が要求されます。これらの部品では強度・剛性が求められるのでガラス繊維強化材料が使用されます。ガラス繊維強化成形品は、表1に示すように流れ方向と直角方向で成形収縮率が異なります。そのため、成形収縮率の見積もり誤差が大きくなるので、高い寸法精度を満足する製品を作るには設計技術の蓄積が必要になります。

ワンポイントアドバイス

一朝一夕で厳しい品質を満足させるための設計技術を習得することは困難ですが、材料、設計、成形などに関する原理・原則を勉強することが第1歩です。原理・原則を習得することで、さまざまな課題に対する対応力を身に付けることができます。

登録1分ベンリは続く

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数