【大塚化学】超微細チタン酸カリウム繊維配合樹脂複合材料の精密3D積層造形技術と適用:PR
2021.04.19
大塚化学が開発した3Dプリンタ用フィラメント材料は、チタン酸カリウム繊維「ティスモ®」をプラスチックに配合した樹脂複合材料「ポチコン®」の機能を持ちながら、一般的な材料押出方式(MEX、FDM)の3Dプリンタでの使用が可能です。 造形性、精度、強度、剛性が向上し、長時間造形も可能となります。
現在3Dプリンタ用樹脂材料として、射出成型製品と同材質の樹脂材料での開発が活発に進められています。さらに機械強度を高めるためにカーボンファイバーやガラスウールなどの強化繊維を配合した材料開発が行われております。しかしながら、フィラメント方式の3Dプリンタにおいて、精密な形状を造形する場合に3Dプリンタのノズル径はφ0.1~0.5mm程度と非常に細いために上記のような一般的な強化繊維を添加したフィラメントを使用した場合、繊維が3Dプリンタのノズルを攻撃し、内部が摩耗し吐出量が不安定となる問題や、繊維によってノズルが詰まりやすいため、安定した長時間の造形が難しいという課題があります。それらの課題に対して大塚化学は樹脂材料に低硬度、超微細繊維であるティスモを配合することにより解決しました。
まず、ティスモ入り樹脂材料のみが可能な微細造形、寸法精度に加え、他の材料ではできない機能性、加工条件の最適化、樹脂パラメータの最適化をポリアミド(PA)樹脂を中心に検討しました。さらに、PA以外の樹脂材料への適用検討を行い、3Dプリンタやノズルといったハードウェアメーカー、さらにはソフトウェアメーカーとの三位一体による開発を重ねてきました。
今回は精密造形技術のご紹介、ロボット分野での適用拡大、さらには高耐熱・機械強度の優れたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やポリフェニレンスルフィド(PPS)製帯電防止グレードといった材料技術の新展開など、3D積層造形用ポチコン材料の新しい適用を紹介いたします。
チタン酸カリウム繊維:ティスモ、樹脂複合材料:ポチコンに関して
チタン酸カリウム繊維は一般式K₂O・6TiO₂やK₂O・8TiO₂で示される人造鉱物繊維で、耐熱性、断熱性、耐薬品性に優れていますので、樹脂などの補強材、ブレーキパッド用摩擦調整材、フィルター、耐候性塗料などに使用されております。
大塚化学のチタン酸カリウム繊維「ティスモ」は平均繊維長10~20μm、平均繊維径0.3~0.6μmの微細な繊維で、高強度、高弾性率、高アスペクト比といった特徴がありますので、優れた補強性能を示します。また、材料の硬さの指標となるモース硬度は4で、アルミや鋳鉄と同等の硬さですので、摩擦摺動時に相手材を削らない特徴を持ちます。 (写真1、表1)

表1 チタン酸カリウム繊維の性質

写真1 ティスモD(8チタン酸カリウム繊維)のSEM写真
当社では1980年ごろに、チタン酸カリウム繊維「ティスモ(TISMO)」の各種特性と、各種熱可塑性プラスチックスの特性を巧みに組み合わせた高機能複合材料「ポチコン(POTICON:Potassium Titanate Compound)」を開発しました。
ポチコンは以下のような特徴を持ちます。①ミクロ補強による高剛性、高強度、②優れた寸法精度と寸法安定性、③優れた表面平滑性、④アルミや快削鋼を削らない(相手材への攻撃性が低く)、無潤滑摺動が可能なため、摺動部品に最適な射出成型材料になります。
上述の特徴を持つポチコンを3Dプリンティング材料として考えた場合、以下のような利点が想定されます。
① ミクロ補強性によって、フィラメントやパウダーにしても補強効果が得られます。
② 優れた寸法精度と寸法安定性によって、結晶性樹脂の造形で見られる反りを抑えて、良好な造形精度を実現します。
③ 優れた表面平滑性により、造形品をそのまま使用できるため、研磨などの後加工の簡素化が可能です。
④ アルミ、快削鋼を削らないため、3Dプリンタに多用される真鍮ヘッド摩耗も極めて低いです。
これらの特徴を有したポチコンフィラメントを使用した精密3D造形技術と適用について説明いたします。
先端内径φ150μmノズルを用いた精密3D積層造形技術
テクダイヤが新たに開発したノズル(写真2)は、中心ズレのない真円度の高い小径穴開けあけや、内部に段差のない表面粗さの良好なテーパー形状を有しています。

写真2 先端内径φ100μmのノズル
そのノズルを搭載した3Dプリンタを使用し、ポチコンフィラメントを用いてサイクロイドギヤ(写真3)、およびこのサイクロイドギヤを車輪の駆動に用いた自走式ロボット(写真4)を製作し、2020年2月に開催された「第2回次世代3Dプリンタ展」の当社ブース内で披露、デモンストレーション走行を実施しました。

写真3 ポチコン材料を用いて3D積層造形したサイクロイドギヤ

写真4 自走式ロボット
ロボットにおける適用展開
当社ではこれまで、日本大学・入江寿弘教授と比較的低トルクのロボット向け精密ギヤなどを製作し評価を進めてきましたが、最近では東京工業大学・遠藤玄准教授が研究対象とするような比較的高いトルクを出すロボット向けなどに、3D積層造形による樹脂製減速機を提案しています。具体的には、PA樹脂にティスモを20%添加した3D積層造形用ポチコン材料を用いて、精密3D積層造形技術によって、寸法精度が良好で出力トルクを精密に制御できるトルクアクチュエータ(写真5)を試作提出して評価を継続しております。

写真5 PA系ポチコン材料で3D積層造形したトルクアクチュエータ
3D積層造形用ポチコンの新しい材料技術
ポチコンベースの3D積層造形用フィラメントとしては、現時点ではPAフィラメントとPPSフィラメントを提供できる体制となっていますが、帯電防止用PPSフィラメントや、ユーザーの切望するPEEKを用いた3D積層造形用PEEKフィラメントについても開発しています。
帯電防止用PPS系ポチコン材料を用いた3D積層造形フィラメント
半導体製造プロセスなどにおいてESD(静電気放電)対策として用いられる帯電防止用トレーでは主に、3D積層造形品としては汎用樹脂であるABS樹脂をベースにした製品が使われています。しかし、ABS樹脂は耐熱性に乏しく使用される場面は制限されてしまいます。
これに対し当社では耐熱性に優れPPS製帯電防止トレーを提案しています。PPSにティスモを20%コンパウンドし帯電防止用添加剤を加えフィラメント径を1.75mm±0.05mm内に制御した3Dプリンタ用ポチコンフィラメントを用いて造形したトレー(写真6)では、FDM方式でありながら表面平滑性や寸法精度に極めて優れ、高温下での寸法変化や経時変化が少なく誤動作を招くことがありません。

写真6 PPS系ポチコン材料で3D積層造形した帯電防止トレー
PEEK系ポチコン材料を用いた3D積層造形フィラメント
PEEK樹脂は高耐熱で優れた機械強度により、金属部品から代替部品(写真7)として検討が進められています。

写真7 PEEK系ポチコン材料で3D積層造形した部品
しかし切削加工などによる部品製造では、削る部分が多く高価なPEEK樹脂としてはコストに見合わないこともあり、3D積層造形に適したPEEK樹脂フィラメントが強く求められておりました。そこで当社ではPEEKにティスモ20%を添加したポチコンフィラメントをラインナップに加えました。
おわりに
TISMO繊維を配合した樹脂フィラメントを用いることで寸法精度、強度、耐久性が向上し、精密造形も可能となりますので、3D積層造形による試作品の造形だけにとどまらず、生産工程用部品、治具や実部品としての使用に期待しております。今後もお客様が困っている課題を解決すべく、材料の力を生かした高付加価値製品をお客様と一緒に開発していきます。
お問い合わせ
データやサンプルのお問い合わせは、下記までお願い致します
大塚化学株式会社
https://www.otsukac.co.jp/
担当者::米津友希郎
メールアドレス:Yonezu.Yukio.a@otsuka.jp
電話番号:03-5297-2727

PlaBase編集部
PlaBase[プラベース]これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。
