プラスチック製品の外装や機構の試作について解説します。
製品の試作(プロトタイピング)ってどうやってるの?(その1):初めてプラ製品を作る人に伝えたいこと(5)
2021.07.29
この記事では…
(執筆:林光邦/株式会社テクノラボ 代表取締役)
さて、第5回は「試作」についてです。当たり前ですが、試作には外装のほか、電気基板の試作もあればソフトウェアの試作もあります。
それぞれ重要なものですが、初めてプラスチック製品を作る人へ向けたシリーズですので、今回は外装や機構についての試作の説明を中心に進めます。
「試作」の目的
製品を試作する目的は、例えば以下のようなものが考えられます。
①自分たちが試作品を評価し、設計の想定通りになっていない所を見つけるため
②ユーザーに使って貰い、使いにくい点を拾い出してフィードバックするため
③量産部品工場に現物を見せ、生産上の問題点をみつけるため
④顧客候補に渡して、実際に欲しいかどうかの意見を集めるため
⑤試作品を元に、ビジネス展開のための資金を集めるため
近年では投資による資金調達やクラウドファンディングが増えたので、完成品実物を見せるということが当たり前になっており、外装試作の重要性は高まっています。
こうした外装試作は3Dプリンタの普及で非常にやり易くなりました。
作る側にとっても、実物が出来上がる瞬間というのは最高の瞬間で喜びが実感しやすくなりました。
ただ3Dプリンタの造形品は品質や強度で一般ユーザーの使用に耐えるレベルにはないため、あくまで量産前の評価のために使われることに注意が必要です。
試作のコストについて
試作は、結局それ自身を商品として販売するために行われるわけではなく、上記のように必ず何らかの目的があって行われるものです。
目的を満たす範囲であれば必要以上に高い品質にする必要はありませんし、逆に目的を満たせないのであればそもそも試作をする意味がありません。
こうした目的意識については、試作に限ったことではありませんがモノづくりの全ての基本として常に心に銘じておくと、冗費を掛けることなく最適な開発をすることが出来るようになるでしょう。
時折、異常に細かい部分のアラを見つけることに執念を燃やす方を見ることがありますが、細かい部分の仕上げには相応のコストがかかるということを、常に念頭に置きながら試作方法を選択することをお勧めします。
さまざまな試作の方法
話題が先行してきた3Dプリンタですが、その中には多くの方式が存在します。 それぞれに長所短所があるので、簡単に説明して使い分けのポイントを解説します。
※この記事での3Dプリンタ(執筆者による定義):
3Dプリンタとは、広義では積層造形装置全般を指す言葉です。薄くスライスした「層」を「積み」上げて立体的な形状を作る装置のことです。層を積み上げる手法の違いによって様々な方式が乱立しており、それぞれの方法に長所と短所があります。なお、インクジェット3Dプリンタと呼ばれる方法はこうした3Dプリンタの手法の1つであり、特にこの方法を(狭義で)3Dプリンタと呼ぶこともあるので注意してください(編集部:3Dプリンタの定義は諸説あります)。
3Dプリンタを使った試作方法には、以下のようなものがあります。

▲3Dプリンタの方式

▲フルカラーで印刷できるインクジェットタイプの造形機とそのサンプル
また従来からある、3Dプリンタを使わない方法でも試作品を作ることは出来ます。特にCNC切削法は、CAD/CAMの発達により近年は大変使いやすくなりました。なお、3Dプリンタ以外の試作方法については、以下の表にまとめました。

▲3Dプリンタ以外の試作方法について

▲CNC切削加工で使用されるマシニングセンター
もしかすると、ご存じない方法もあったかも知れませんが、とにかく上記それぞれの試作方法には得手不得手があることをご理解ください。そのため試作の手法選択には少し注意が必要です。
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試作編、第6回へ続きます!
林 光邦/(株)テクノラボ代表取締役
東京都立大学3年在学時に実家のプラスチック工場に入社し、そのまま社会人経験をスタートしたものの、数年後に倒産し廃業。その後、創業したばかりの株式会社エヌシーネットワークに入社。同社で工場のプロモーションと業務委託のための工場監査を担当し、300を超える町工場を訪問。
2004年、33歳で株式会社テクノラボを創業。平均年間60~80件程度の製品開発を行う。台湾企業とコラボして作った「foop」、インド製薬企業向けの医療機器開発、国内ベンチャーと協働した3Dホログラム造影端末など、黒子に徹しながら現在も多くの新製品開発に関わる。2018年より海洋ごみのリサイクル事業にも参入。
神奈川ビジネスオーディション最優秀賞など、ビジネスコンペティションの受賞多数。
趣味は、犬の散歩とごみ拾い。

