射出成形の基本について解説する本連載。今回は、射出成形機金型の構成や動作について解説する。
ゲートの種類:射出成形の基本(11)
2021.08.19この記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
射出された樹脂はランナーを通り成形品に充填される。この樹脂の成形品への流入口のことをゲートと言う。ゲートには様々な形状があり、その製品の用途や形状・樹脂の種類などの条件からゲート形状を決めるとよい。

主なゲート形状
ダイレクトゲート

ランナーを介さずに直接製品にゲートを落とす方法。バケツや箱など断面が均一な製品で多く見られる。形状は限定されるが成形バランスが取りやすく、ランナーを必要としないため、設定が容易で樹脂の節約になる。
欠点としては、ゲート付近にゆがみが出やすいこと、製品にゲートカットをした跡が大きく残ること、などがある。
サイドゲート

製品の側面に付けるゲート。加工が簡単で、多数個取りにも対応できることから、最もよく使用されているゲート形状といえる。成形品を金型から取り出した後、ニッパーなどでゲートを切断して仕上げる必要がある。ゲート跡が残るので、目立たない場所に付けるなどの配慮が必要となる。
ジャンプゲート(オーバーラップゲート)

サイドゲートによく似ている形状。サイドゲートは製品の側面にゲートを設定するのに対して、ジャンプゲートは製品の上面または下面にゲートを設定する。サイドゲートで製品の側面に跡を残したくない時に、このゲートを使用する。サイドゲートと同様に加工は容易だが、サイドゲートに比べて若干ゲートカットがしづらいのが難点になる。
トンネルゲート

型が動作するタイミングで自動的に切断されるゲート形状。今までのゲートは成形後にゲートの処理が必要だったが、このゲートは多少のゲート跡は残るが仕上げが不要となる。欠点はゲートを金型に潜らせるため加工が非常に手間となり金型のコストアップになること、樹脂の種類によっては上手くゲートカットされない場合などがある。
ピンゲート

トンネルゲートと同様にゲートが自動的に切断されるゲート形状。仕上げも基本不要だが、ゲート跡は残る。固定側(意匠側)にゲートを設定するためこの跡が気になるような製品には向かない。
ランナーのレイアウトの自由度が高く、多点ゲートにも可能なことから応用性が非常に高いゲート構造といえる。
ただし、金型構造は「3プレートタイプ」と呼ばれる複雑な構造となる。そのためトンネルゲート以上に加工の手間、コストアップにつながる。また、樹脂の種類によってはゲートの切断もうまくいかない場合がある。
それぞれのゲートには、当然メリットとデメリットがある。
例えばバケツのような円筒状の製品であればゲートの跡が残るデメリットがあっても成形バランスの取りやすいダイレクトゲートが良いし、月産数量が非常に多い製品であれば、金型に費用をかけてでも自動でゲートカットができるトンネルゲートやピンゲートを採用するのが良い。製品形状、生産計画、コストメリットなどトータルで考えてゲート形状を決定する必要がある
(次回へ続く)

<過去記事はこちらからご覧いただけます>






