射出成形の基本について解説する本連載。今回は、突き出し機構について解説する。
突き出し機構の役割と設定:射出成形の基本(12)
2021.09.30
この記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
これまでも説明したように、金型で成形した製品は通常、可動側の金型に張り付いている。この張り付いた製品を金型から取りはずす必要がある。単純に金型に張り付くといっても、製品は収縮率の関係で非常にしっかりと金型に張り付いている。
そもそも量産をする以上いちいち手で剥がすような手間をかけてはいられない。そこで金型から製品を取り外すための機構、突き出し機構が必要となる(図1)。

図1:製品と突き出しピン
突き出し機構を設定した部分は製品に跡が残ってしまう。そのため製品の見える部分に突き出し機構を設定するのは避けた方がよい。透明な製品については製品の裏面に突き出し機構を設定したとしてもその跡が透けて見えてしまうため、特に注意が必要になる。
製品に突き出し機構の跡を残したくない場所があるなら、製品設計時にあらかじめ注記をしておくとよい。
また、突き出し機構の設定時には次のことに留意して設計を進めるとよい
1. バランス良く配置をする
成形品を安定して金型から突き出せるように、製品全体に対してバランス良くレイアウトするのが重要となる(図2)。

図2:バランス
2. 離型抵抗の強い部分に配置する
「離型抵抗」とは金型から製品が離れるときに生じる抵抗のこと。抵抗が大きければそれだけ金型から製品が離れづらくなるということになる。そのため、離型抵抗の大きな箇所には突き出し機構を設定する必要がある。
特に深いリブやボス、タテカベなどは特に離型抵抗は強いので重点的に配置する(図3)。

図3:離型抵抗が強い形状
3. 突き出し面積はできるだけ大きく設定する
面積が小さいとピンの変形が起きたり、製品表面が白くなったりしてしまう白化現象という不具合が生じてしまうため、極力突き出し面積は大きく設定するのがよい。
(次回へ続く)

