PlaBase

【1】プラスチックをなぜ塗装をするのか? 何を期待して塗装をするのか?

2018.09.26

Image

塗装の痕跡はエジプトのピラミッドの内部にもあった!

 
―本論の神髄に進む前に、そもそも塗装とはどんなものなのかを考えてみましょう。―

まず、私たちの生活の場で多く見られ、便利なものであるクルマに注目してみましょう。そのクルマに使われている素材とその特性を解剖することが出発点になります。それでは、クルマを構成する素材の大部分は何でしょう?その答えとして、10人のうちの8~9人は金属あるいは鉄と答えると思います。次に注目して欲しいのは、クルマの前の部分や後ろの部分です。この部分(部品)にはプラスチックが使われていることは良く知られています。これらの外観部品として組付けられているプラスチック製品は、クルマのボディ塗装と同様の綺麗な外観を呈しています。少しかがんで、クルマの下を視てみましょう。かなりのモノが鉄でできているように見えますね。クルマに関しては、どの部品でも外観を視るだけでは、素材そのものの様相とかなり違いますね。元々のスタートが、“なぜ塗装をするのか? 何を期待して塗装をするのか?”という狙いでしたので、塗装を施すことで得られる期待が分かり始めたものと思います。

つまり、塗装をするということは、

“素材・本体”というモノの表面(ないしは素材・本体の表面に特定の処理を先に施したその表面)に何らかの被覆層(単層又は複層)を形成して、

◆基本的には“素材・本体”と一体となり、

◆形成されたその被覆層が、本体には無い(あっても少ない)特性や感性、見栄えなどを発揮すること

と云えます。

それにしても、ピラミッドの中で発見された塗装品の破片が5000年も前のモノであったり、あるいは正倉院に2000年も前から塗装という”処理”をされていたモノが今でも立派に残っていることに驚きます。 では改めて、もし塗装をしなかったら、そのモノ・素材はどうなるのか? どんな問題が発生するのか? ということを、最初にクルマに関して論じてみましょう。

まず、クルマの本体の多くの部材が鉄でできているという共通認識があることを前提にしましょう。ひとくちに鉄と云っても、その成分・内容や製造方法等に様々なタイプがありますが、この論説内では総合的に「鉄」の意味合いで扱うことにします。では、クルマに使われている鉄という素材に塗装をしなかったら、どんな問題が発生するでしょうか?それはズバリ、鉄はそのまま使っていては比較的短期間に錆びてしまい、商品として使えなくなります。鉄の錆びは時間とともに進行しますから、錆びることで鉄の強度も低下してしまい、機械的物性も初期値から低下します。このため、乗り物用に必要な強度及びその長期信頼性を必要とする部材には使えなくなるでしょう。

このため、鉄を商品として使うためには錆びさせないような処理をしないと、安心して使えないでしょう。これが、鉄をクルマに使うために塗装する1つの大きな目的であり重要な理由です。ただし、鉄を錆びさせない処理方法は既に、非常に高度で信頼性の高い表面処理技術が構築されています。このため、塗装というカテゴリーだけで錆びを防止する説明を改めてする必要は特に無いでしょう。むしろ塗装を施すということには、もっと別の目的・狙いがあります。それは、美しい外観に仕上げて購買意欲をそそる!という、売り手側にとっても買い手側にとっても、最も大事な“満足感”と“売れ行き”を左右しかねない重要な要素を満たすことに繋がっている、ということです。

塗装を施すもう一つの重要な目的・狙いに、“傷つきにくさ・痛みにくさ”が大きな比重を占めています。すなわち、その製品/商品の外観面での価値を長持ちできる性能(耐久性)に密接に関わっているのです。高価高額な製品/商品が短期間で変質劣化したり見栄え/外観が劣化してしまったら、購買者の落胆は非常に大きなものになるでしょう。時にはクレームにもなりかねません。

素材の種類がプラスチックであっても、木材や幅広い意味で建築部材などであっても、塗装をする目的・狙いはほぼ共通しています。違うのは、どのような内容・成分の「塗料」を使うのか、どのような方法で塗装をするのか、どの様に見せる(魅せる)のか等の判断・選択です。

この論説の続きは次回で出てきますので、期待して下さい。

Image

>>>>連載「プラスチック塗装技術の極意」一覧 

PlaBase編集部

これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。