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プラスチックと可塑剤および滑剤:プラスチック材料の基礎知識(7)

2021.12.14

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この記事では…

プラスチック材料における、可塑剤や滑剤の役割や機能について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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可塑剤や滑剤は成形加工性や性能・機能を改良する目的で成形材料に添加する配合剤である。

可塑剤とは

可塑剤は流動性をよくする、軟らかい材料にするなどの目的で添加する配合剤である。

図1に示すように可塑剤はプラスチックとなじみやすい(相溶性がよい)性質があるためポリマーの間隙に入り込みやすい物質である。

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図1 可塑剤の概念図

可塑剤が入り込むとポリマ―間の結合力(ファンデルワールス力)が弱くなるので、耐熱性は低下するが流動性はよくなる。

可塑剤を添加して流動性を改良している例にはポリ塩化ビニル(PVC)がある。PVCは成形温度と分解温度が近いので、成形時に熱分解しやすいという問題点がある。PVCは可塑剤との相溶性がよいため添加すると流動性がよくなる。そのため、成形温度を低くして成形できるので熱分解を抑制できる。また、実用上では可塑剤を添加すると軟らかくなるので、軟質フィルムや軟質チューブの押出成形品に用いられている。ただ、可塑剤を添加すると耐熱性が低下するので、PVC以外へ添加した例は比較的少ない。

可塑剤の種類については、注1を参照されたい。

滑剤とは

滑剤は滑り性をよくするための添加剤である。粉末、顆粒状の素材(ポリマー)を加工する際に、素材と加工機、または素材の粒子同士の滑り性良くする目的で添加する。

素材と加工機との滑り性を良くするため使うときは外部滑剤、素材同士の滑り性を良くするために使うときは内部滑剤という。両滑剤の概念を図2に示す。

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図2 外部滑剤と内部滑剤の概念図

プラスチックと滑剤の組み合わせによって相溶性がないときは外部滑剤として、相溶性があるときは内部滑剤として効果を発揮する。外部滑剤は、主に素材表面に存在して加工機や金型との滑り性をよくするものである。例えば、射出成形では添加すると金型面との摩擦抵抗が小さくなるので、成形品を金型から突き出すときの型離れ(離型性)がよくなる。そのため、外部滑剤を離型剤として成形材料に練り込むことがある。内部滑剤の作用は可塑剤と比較的似ている。しかし、可塑剤のように流動性や軟質性を付与する目的で使用することはない。

具体例としては素材粒子間の滑り性が良くなるので、スクリュの回転トルクを小さくしてせん断発熱(注2)を少なくするときに用いられる。また、プラスチック製品同士の滑り性を良くするために内部滑剤を練り込むこともある。

滑剤の種類は注3を参照されたい。

次回へ続く)

筆者注

注1:可塑剤の種類
フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、エポキシ系など
注2:材料を溶融するまでの過程で、スクリュを回転するときに生じるせん断力によって材料が発熱することをせん断発熱という。
注3:滑剤の種類
炭化水素系(低分子ポリエチレン、パラフィン)
脂肪酸系(ステアリン酸、ベヘニン酸)
脂肪酸アルコール系(ステアリルアルコール)
脂肪酸アマイド系(ステアリン酸アマイド)
脂肪酸エステル系(ステアリンステアレート、ブチルスレアレート)
脂肪酸金属石けん系(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数