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プラスチックと繊維強化材:プラスチック材料の基礎知識(13)

2022.05.11

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この記事では…

プラスチック製品に配合する充填材の一種である、繊維強化材を中心に解説する。 充填材に含めることもあるが、ここでは繊維強化材を取り上げて説明する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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繊維強化材を充填すると強度や弾性率が高くなる。繊維強化材としてはガラス繊維が最も汎用的に使用されている。さらに高強度、高弾性率を必要とするときには炭素繊維が用いられる。両繊維強化材の比較を表1に示す。

表1

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ガラス繊維

ガラス繊維は価格が比較的安く、強度・弾性率は高いので汎用的に使用されている繊維強化材である。ガラス繊維は溶融紡糸した直径10μ~13μmの繊維を束にして巻き取ったもの(ロービングという)である。繊維表面にはプラスチックとの界面接着性を良くするためカップリング剤と呼ばれる表面処理剤で処理されている。さらに、コンパウンディングするときのハンドリング性を良くするため集束剤で処理されている。

通常、成形材料に充填されるガラス繊維はロービングを3~6mmの長さに切断したチョップドストランド(CS)が用いられる。CSと素材(ポリマー)をコンパウンディングして成形材料(ペレット)が作られる。図1(a)のようにペレット中には短い繊維が分散している。射出成形すると短繊維強化品が得られる。

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図1

一方、長繊維強化成形材料(ロングペレット)を図2(b)に示す。同成形材料を作るにはいろいろな方法がある。例えば、電線を作ると類似の方法で、ロービングにプラスチックを溶融被覆して押出して長さ8mm程度に切断してロングペレットを作る。これを射出成形するときに溶融樹脂中に混錬・分散させて長繊維強化品を作る。

また、成形材料を経ることなく、専用射出成形機を用いて加熱シリンダー途中からガラス繊維ロービングを直接供給し、スクリュ回転時にロービングを切断および混錬して長繊維強化品を成形する方法もある。

炭素繊維

成形材料に使用される炭素繊維にはPAN系とピッチ系がある。

PAN系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN:Polyacrylonitrile)を溶融紡糸した繊維を空気中で、その後不活性ガス中で高温処理し炭化させたものである。さらに接着性を良くするための表面処理も行われる。繊維径は5μ~7μm程度のものが多い。

このようにして作られた炭素繊維を束にしたロービングを切断してチョップドファイバーを作る。チョップドファイバーをコンパウンディングして炭素繊維強化成形材料を作る。ガラス繊維強化品よりもPAN系炭素繊維強化品は強度や弾性率が大幅に向上する。一方、長繊維強化品を作るには、専用射出成形機を用いて加熱シリンダー途中から炭素繊維ロービングを直接供給し、スクリュ回転時にロービングを切断・混錬して成形する方法もある。

ピッチとは石油、石炭工業における高沸点の副生成物を乾留したときの残留物である。ピッチを空気中、その後不活性ガス中で高温処理して炭化させたものがピッチ系炭素繊維である。ピッチ系炭素繊維を充填すると強度・弾性率はPAN系強化品より低いが、摩擦摩耗性、導電性、寸法安定性などの機能が向上する。

次回へ続く

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数