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プラスチックと難燃剤:プラスチック材料の基礎知識(9)

2022.02.10

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この記事では…

プラスチック材料における、「燃えにくさ」を示す難燃性や難燃剤について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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プラスチックを構成する主要な元素は炭素、水素、酸素であるため、火炎が当たり高温にさらされると熱分解し、一酸化炭素やメタンなどの可燃性ガスを生成し燃焼する(図1)。

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図1 着火源で燃焼させたときの燃焼性

ただ、次に分類されるプラスチックは「難燃性」であり、燃えにくい特性を備えている。

①ポリ塩化ビニル、ふっ素樹脂、ポリフェニレンスルフィドなどは燃焼時に不燃性ガスを発生して酸素を希釈するので難燃性である。

②液晶ポリマー、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドなども難燃性である。これらのプラスチックは燃焼時に可燃性ガスの発生が少ないこと、燃焼すると炭化物被膜を形成して酸素から遮断することで難燃効果を発揮すると推定される。

その他のプラスチックではコンパウディング工程(注1)で難燃剤を練り込んで難燃性を付与している。ただ、難燃性といっても「完全に燃えない」ということは起こりえないため、「燃えにくさ」をランク付けして評価する方法が取られている。また、製品肉厚が薄いほど燃えやすいので、肉厚別に評価ランク付けしている。

例えば、UL(Underwriter’s Laboratories)のUL94の垂直燃焼試験は、図2に示す装置で試験片を垂直にセットして燃焼試験を行い、V2、V1、V0の順に難燃ランク付けしている。

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図2 UL94垂直燃焼試験法の例

プラスチックの難燃剤にはハロゲン系、リン系、無機系などがある。それぞれのプラスチックに適した難燃剤が使用されている。また、添加率は高いほど難燃性能は高くなるが、成形上の問題(熱分解、成形機や金型の腐食)が生じるので最適添加率がある。

各難燃剤の難燃機構と種類は次のとおりである。

① ハロゲン系難燃剤
燃焼によって不燃性ガスを発生させて酸素を希釈する。また、燃焼過程で生成する初期分解物質(ラジカル)を捕捉する。ハロゲン系難燃剤には塩素系や臭素系があるが、燃焼ガスの有害性や欧州におけるRoHS規制(注2)の制約から最近では使用されることは少なくなっている。

② りん系難燃剤
りん化合物の熱分解により生成したりん酸層の被膜が酸素遮断層を形成する。また脱水作用によりプラスチック表面に炭化被膜(チャー)を形成し酸素や熱を遮断する。りん系難燃剤には無機りん酸塩系、赤りん系、りん酸エステル系などがある。

③無機系難燃剤
加熱時に結晶水の解離により燃焼温度を下げて難燃効果を発揮する。また、難燃剤には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどがある。

次回へ続く)

筆者注

注1:押出機を用いて素材(ポリマー)と配合剤(難燃剤)を溶融混錬して粒状成形材料(ペレット)を製造する工程である。造粒ともいう。
注2:Restriction of Hazard Substancesの略で有害物質使用制限令のことで、一部の臭素系難燃剤は使用禁止になっている。

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数