【5】次に主役の塗料系、我々の目に触れる「塗膜」とはどんな素材か?
2018.11.08
塗料の使い方
いよいよ主役である塗料とその扱い方や挙動等について説明をします。このことについては以前の記事でも記述しましたが、重要なことですので再度記述してみます。
まず、塗装の世界は塗料が液体、塗膜が個体、塗料の構成成分が気化飛散して気体の挙動をします。この3態が、加工工程で短時間且つ急激に変化します。このため、塗料がどのように変化して、具体的にどのような状態を経て変化をするかをできるだけ学習して理解しておきましょう。特に塗料が、液体から塗膜という個体に変化する過程の状態を経時的に観察し、認識しておくことで、様々なトラブル対策のヒントを見つけ出すことができます。
続いて、塗料について探索してみましょう。塗料は主成分から微量成分まで、幅広くて複雑且つバランス良く混ぜて構成されています。それらを分類してみましょう。 塗料はプラスチック塗装に最も汎用的に使われている有機溶剤型のものをサンプルにします。塗料はまず、固形分(慣用呼称はノンブラ;Non-Volatile)と揮発分(相当する慣用呼称はなし;Volatile)に分かれます。固形分(ノンブラ;Non-Volatile)は更に塗膜主成分と塗膜副成分に分かれます。塗膜主成分は文字通り塗膜を構成する主要成分であり、一般的に熱可塑性樹脂(1液型)と熱硬化性樹脂(2液型)に分かれます。
塗膜副成分は更に、色材と添加剤に分けられます。 色材は文字通りそれ自体が塗膜の色を呈する材料であり、着色材とも呼ばれて有機系・無機系・光暉系などの材料があります。色材のもう一つの材料は体質材と言って、それ自体が鮮やかな色彩を呈することはないが、塗膜の厚みづくりに貢献し、主に無彩色系の色を呈して塗膜としての色を呈する役割を果たします。
塗膜の成分
塗膜副成分には添加剤としてまとめられる成分があります。具体的には分散材・レベリング材・沈降防止剤・紫外線吸収剤・酸化防止剤等々が微量~極微量混ぜられているからこそ、扱いやすくて素晴らしい性能や色・外観を呈する塗膜になります。揮発分(相当する慣用呼称はなし;Volatile)は有機溶剤系そのものであり、ケトン系・エステル系・アルコール系・エーテル系・脂肪族系等がバランスよく混ぜられて使われます。
この揮発分が、塗装工程内・作業中に気化して捕集されるもので、塗料・塗膜から消えていくものです。
また塗料を固形分すなわち塗膜主成分である成分に注目して、塗料の種類を分類する方法もあります。ビジネスの世界、いわゆる流通業界では常用さる分類方法です。また、塗膜の性能や信頼性を論じる場合にも常用される分類方法です。
それは、
①ラッカー塗料(ニトロセルロース系)・・・簡便に使いやすい
②ウレタン塗料(1液型・2液型)・・・プラスチック塗装に最適
③アルキッド樹脂塗料・・・金属塗装に多用され、耐熱・耐久性・耐候性優れる
④アミノアルキッド樹脂塗料・・・金属塗装に多用され、耐熱・耐久性・耐候性優れる
⑤エポキシ樹脂塗料・・・非常に強固な塗膜になる
⑥水系塗料・・・有機溶剤をほとんど使わない、水/アルコール分散系塗料
⑦漆・・・漆の樹から採れる塗料で、悠久の耐久性を得ることも可能
であります。
更には、塗料形態に注目して分類する方法もあります。
それは、
①有機溶剤型塗料
②水系塗料
③粉体塗料・・・塗膜になる成分を粉砕しておいて被塗物表面に吹き付け仮留めし、熱に晒して粉体を溶かして塗膜を形成するというものです。更には、塗料を構成する有機溶剤及びシンナーに使われている液体成分を分類して理解しておくことも重要です。
それらを分類すると次のように表現されます。
①ケトン系・・・MEK(メチル・エチル・ケトン・)、MIBK(メチル・イソブチル・ケトン)
②エステル系・・・酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル
③アルコール系・・・ブチルアルコール、イソブチルアルコール
④エーテル系・・・エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ
⑤n-パラフィン系・・・ホワイトガソリン、ナフサ、ソルベッソとなります。
このうち、①のケトン系溶剤は塗料を溶かす能力が非常に優れ、②のエステル系溶剤は①のケトン系溶剤に次いで塗料を溶かす能力が優れます。
③④⑤は塗料を溶かす能力がほとんど無いか、あっても極々わずかでしかありません。更に、塗装には被塗物に吹き付けた塗料が頑強な塗膜を形成する過程で、熱を加えてシンナー・溶剤類を飛散させなければなりません。
この処理過程でも、各種溶剤・シンナーをバランスよく蒸発させて塗膜の外観を損なわないようにしなければなりません。そのための目安になるのが、有機溶剤・シンナー類の沸点(BoilingPoint:BP)です。
この沸点に注目して分類してみましょう。
①低沸点(~100°C)・・・MEK、酢酸エチル、ブチルアルコール
②注沸点(100~150°C)・・・MIBK、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ホワイトガソリン(混合物)
③高沸点(150~°C)・・・ブチルセロソルブ、ナフサ(混合物)
となります。
以上の特徴を備えた有機溶剤・シンナー類がバランスよく配合されている塗料系から最適な蒸発飛散をさせながら、狙った意匠を呈して信頼性充分な塗膜を形成するのです。まさに、バランスの妙で塗膜が形成されるのです。
Part4はこちら 【4】まず素材、プラスチックの素晴らしさと気難しさを探検してみよう
この記事のPart1はこちら 【1】プラスチックをなぜ塗装をするのか? 何を期待して塗装をするのか?
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