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プラスチックと光安定剤および光遮蔽剤:プラスチック材料の基礎知識(10)

2022.02.24

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この記事では…

プラスチックが紫外線に長期間さらされる際、劣化を抑制するための添加剤での対策などについて解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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太陽光から発する紫外線の場合、プラスチックを劣化させる紫外線波長は290nm~340nmである。紫外線エネルギーはポリマーの結合エネルギーより大きいので、紫外線エネルギーを吸収すると分解・劣化する。吸収しないで透過すれば分解は起こらない。

紫外線の吸収性はポリマーの分子構造によって決まるので、プラスチックによって紫外線の影響は異なることになる。太陽光以外に蛍光灯や水銀灯光源からも紫外線は発生する。紫外線にさらされる用途で長期寿命を必要とする時には、光安定剤や光遮蔽剤を添加して劣化を抑制している。

図1に示すように紫外線劣化は紫外線が照射される表面層から進行する。

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図1 紫外線劣化の進行

表面の劣化層は分解してボロボロになるので、雨や風または表面清掃で失われて内部の劣化していない層が表面に露出する。このように表面から劣化が進行する。紫外線劣化するとチョーキング(注1)、変色、強度低下などが起きる。

紫外線劣化機構は紫外線エネルギーを吸収すると初期分解物質(ラジカル)が生成する。ラジカルに大気中の酸素が結合し過酸化物ができる。そのとき気温や湿度が高いと過酸化物の生成を促進する。過酸化物は不安定物質であるのですぐに分解し分子切断が起きる。

紫外線劣化機構と紫外線劣化防止剤の役割を図2に示す。

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図2 紫外線劣化機構と紫外線劣化防止剤

図のように紫外線劣化を防止するには光安定剤(注1)や光遮蔽剤をプラスチックに添加する対策が取られている。

紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤(HALS:Hindered Amine Light Stabilizers)を含めて光安定剤と総称している。

紫外線吸収剤(注2)は紫外線エネルギーを吸収すると振動エネルギーに変換することでプラスチックの紫外線劣化を防止する。その後振動エネルギーは熱、光、蛍光などのエネルギーに変換し、エネルギーを放出すると紫外線吸収剤は元の構造にもどる。

このように紫外線吸収剤は紫外線を吸収することでプラスチックの紫外線劣化を抑制している。一方、HALSは紫外線を吸収する能力はないが、劣化に伴って発生するラジカルから過酸化物までの進行を抑制する効果がある。一般的には紫外線吸収剤を単独で添加する場合と紫外線吸収剤とHALSを併用して添加する場合がある。

光遮蔽剤には無機充填剤や無機顔料がある。これらをプラスチックに練り込むと、紫外線を表面近傍で吸収・遮断することで劣化抑制効果を発揮する。無機顔料であるカーボンブラックは全てのプラスチックの紫外線劣化抑制に最も効果のある光遮蔽剤である。

次回へつづく)

筆者注

注1:紫外線劣化表面が白い粉が付着しているような状態になる現象をいう。

注2:紫外線吸収剤の種類
⁠ベンゾフェノン系、サルシレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系などがある。

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数