PlaBase

プラスチック素材を芸能人にたとえてみた(後編):初めてプラ製品を作る人に伝えたいこと(8)

2022.03.23

Image

この記事では…

プラスチック素材の特性について、芸能人にたとえながら解説します(後編)

(執筆:林光邦/株式会社テクノラボ 代表取締役)

プラスチックの特性について、芸能人にたとえて解説してみる記事の続き(後編)です。前回をお読みでない方は、まずそちらからご覧ください! 

⑤ ポリプロピレン(PP)=吉本興業

Image

ポリプロピレンは柔らかく使いやすいので、お笑い芸人のようです。プロデューサー(工場)の意向に素直に従って思い通りのカタチに素直になってくれます(塑形性が良い)。ただ、今では一言で表せないくらい、幅広く芸人が所属している点では関西方面の芸人さんで、吉本興業のようです。

本来の芸人は、どちらかというと勉強は苦手で(耐候性や耐熱性が悪い)芸人の道に進んだ(安くこき使われる)人たちだったはずですが、今では勉強がすごく出来る「高学歴芸人」もいます(自動車などの耐熱・耐候用途にも対応している)。特に割れないという特徴から安価なケースなどではヒンジ部分も一体にすることが出来、100円ショップで多く使われています。

テレビのひな壇を吉本の芸人さんが席巻しているのは、100円ショップの中のPP素材比率を見るようです。

⑥ ポリエチレン(PE)=内村光良、澤部佑

Image

ポリエチレンは同じお笑いでも、東京のお笑い芸人、内村光良さんとか澤部佑さんのイメージですね。安価で使い勝手が良いので吉本(ポリプロピレン)に負けず多くの場所に使用されています。一方で東京の芸人は関西の芸人に比べると、大笑いよりもクスリ笑いで良しとする傾向にあるようです(低温特性に優れている)。

また比較的下品な笑いを避ける傾向があり(衛生的:食品関係によく使われる)。硬さの調整が自由にでき、非常にかたい役(硬質ポリエチレン)から柔らかい役(軟質ポリエチレン)までこなせるので、いつの間にか俳優になっていることも多いのが東京の芸人さんのイメージです。とはいえ元がお笑い芸人なので、広く異性を熱狂させる高温耐熱特性は余りありません。

⑦ ポリアセタール(POM)=マツコデラックス

Image

ポリアセタールは、ギアやローラーと言った機構内部部品として必ずと言ってよいほど使われている素材です。安価で滑り性が良く、耐衝撃性も良好だからです。

見た目も決してキレイではありません。しかし他の人(素材)との滑り材になって活躍し、ぶつかってもお互いを壊すことがないという点で、非常に多く使われているのが、マツコデラックスさんです。一定以上の温度に上がると、毒を吐く(有毒ガスを放出する)点も良く似ていると思います。

ちなみに、ポリアセタールにはホモポリマーとコポリマーの2種類が存在します。コポリマーの方は、子役出身の坂上忍さんかなと思います。

⑧ ポリアミド(PA)=タモリ

Image

ポリアミドは、タモリさんです。芸人さんなので、柔らかいですが、バラエティ番組の司会で出演者の方々を上手に回していたように、潤滑特性も十分持っています。非常に多芸で(耐熱性、耐薬品性など)、どこに使ってもはまりますが、ややギャラが高いです。「ブラタモリ」に見られるような、学究的な趣味を持つ(ガラス繊維が入ることでこれまでになかった精度と耐熱性を持つ)面も見せてくれます。また、タモリさんはちょっと品が良い方で、上品でスマートな番組(つまり、医療品)などでも多く使われるところがタモリさん的ですね。

⑨ ポリエチレンテレフタレート(PET)=木村拓哉

Image

ポリエチレンテフタレートは、まさに一役に秀でた役者(素材)ということで、木村拓哉さんだと思います。

一時期のゴールデンタイムのドラマが木村拓哉のオンパレードだったように、ペットボトル製造の世界でもポリエチレンテフタレート一強です。またこの素材は、繊維にするとポリエステルと呼ばれるようになり、こちらでも広く使用されています。そのためポリエチレンテフタレートは、SMAPの歌手でも広く知られていた木村さんを彷彿とさせませんか?

ただ、ドラマでも声優でも歌手でも、常に「キムタク」であるのが、好き嫌い分かれるでしょうね。市販のプラスチック素材の中で、ほぼ唯一資源リサイクルが上手く行っている素材ですが、「PETボトルとポリエステル繊維以外ないんかい!」とつっこみたくなるのは欲張り過ぎなのでしょうか?

⑩ 塩化ビニール(PVC)=玉置浩二

Image

塩化ビニールは、抜群の歌唱力、演技力(耐候性、電気絶縁性・難燃性)によって極めて高い評価を受け、何度も表舞台に現れながら、不倫騒動によって実力ほどの評価を受けていない、歌手の玉置浩二さんだと思います。

確かにスキャンダルはありました(柔らかくする際に使うフタル酸という添加剤が環境に悪い)。しかし今では関係は解消していますし(フタル酸エステルは使われなくなった)、そもそも彼が悪いという風評被害(ダイオキシンを発生させるという噂)は、今では多くが誤解であったことが知られています。

塩化ビニールには、アンチも多いですが、その実力故、いまでも屋外に使う配管としては大体するものがありませんし、電線関連にも多く使用されています。

⑪ その他の色々な樹脂――ポリフェニレンサルファイド(PPS)=GACKT ほか

Image

他にも個人的には色んな擬人化をしています。理由は皆さんなりに想像してもらえると嬉しいです。

・ポリフェニレンサルファイド(PPS)=GACKTさん

・シクロオレフィンポリマー(COP)= 広瀬すずさん

・ポリブチレンテレフタレート(PBT)=ローランドさん

・熱可塑性エラストマー(TPE)=明石家さんまさん

・フッ素樹脂(PTFE)=11代目市川海老蔵さん

・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)=葉加瀬太郎さん

・液晶ポリマー(LCP)=松岡修造さん

・エポキシ(EP)=ビートたけしさん


Image

>>>>連載「初めてプラ製品を作る人に伝えたいこと」一覧⁠⁠

林 光邦/(株)テクノラボ代表取締役

⁠東京都立大学3年在学時に実家のプラスチック工場に入社し、そのまま社会人経験をスタートしたものの、数年後に倒産し廃業。その後、創業したばかりの株式会社エヌシーネットワークに入社。同社で工場のプロモーションと業務委託のための工場監査を担当し、300を超える町工場を訪問。

⁠2004年、33歳で株式会社テクノラボを創業。平均年間60~80件程度の製品開発を行う。台湾企業とコラボして作った「foop」、インド製薬企業向けの医療機器開発、国内ベンチャーと協働した3Dホログラム造影端末など、黒子に徹しながら現在も多くの新製品開発に関わる。2018年より海洋ごみのリサイクル事業にも参入。

⁠神奈川ビジネスオーディション最優秀賞など、ビジネスコンペティションの受賞多数。

趣味は、犬の散歩とごみ拾い。