プラスチック製品の設計において、強度を高めるためどのように形状検討すればよいのか解説する。
製品強度を高めるには、どのように形状設計するか:プラスチックの強度(24)
2022.03.09
この記事では…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
プラスチックの強度は低いので、より強度の高い製品を作るには形状設計を最適化することが重要である。良くない設計例と良い設計例を図1に示す。

図1:プラスチック成形品の形状設計例
図1(a)に示すように厚肉部は肉盗みをして均一な肉厚に設計する。肉厚が不均一であると、次の不具合が発生する。
- 厚肉部に気泡が発生する。気泡が応力集中源になって破壊しやすい。
- 残留ひずみが発生しやすい。過大な残留ひずみがあるとクラックが発生し、外力が作用すると破壊する。
また、段差のある肉厚設計が避けられないときには、図1(b)に示すように肉厚を緩やかに変化させるように設計する。
図1(c)に示すように鋭角コーナがあると応力集中や残留ひずみ発生の原因になる。コーナには丸みをつけるように設計する。内側アールRおよび外側アールR’の目安は、次の通りである。

製品剛性を高めて荷重変形を小さくするためにリブを設ける。リブの設計例を図(d)に示す。リブの形状設計が良くないとリブ基部の応力集中、リブ基部の気泡発生、リブの離型不良などが原因で強度低下する。
リブ形状設計の目安は次に示す。
- リブの抜き勾配:0.5°~1
- リブ基部のアール 0.3mmR
- 製品厚みTとリブ基部厚みt 3mm≦T :t=0.6T T>3mm:t=0.4T
- 製品厚みTとリブ高さh:h≦3T
ボスには下穴を設けておき金具のプレスフィット(注)、ねじ接合、セルフタッピンねじ接合などが行われる。ボスの基本的な設計はリブと同じであるが、他部品を接合するためボスに外力がかかると根本から折損することがある。図(e)に示すようにボス周囲を縦リブで補強するのがよい。外力のかかり方によって2方向または4方向から縦リブ補強する。 縦リブ厚さの設計目安を次に示す。
t’=(2/3)×T
t’:縦リブ厚さ T:ボス肉厚
図(d)に示すように金型の開き方向に抜き勾配を設ける必要がある。抜き勾配は1/100~1/50(0.5°~1.0°)以上を目安とする。抜き勾配が小さいと金型から突き出すときに無理な力がかかるので成形品の割れ、変形、残留ひずみなどの原因になる。
筆者注
締め代(=金具外径―ボス下穴内径)を設け、下穴に金具を圧入して金具を固定する方法をプレスフィットという。
(次回へ続く)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

