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応力集中はどんなときに起こるか:プラスチックの強度(25)

2022.06.13

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この記事では…

プラスチック製品において、応力集中がどのような条件で発生するのかを解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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応力集中とは形状変化部で局部的に応力が増大する現象である。プラスチック製品では応力集中によって大きな応力が発生して破壊に至ることが多いので、できるだけ応力集中しないように設計しなければならない。

破壊力学では物体内の欠陥部に応力集中することで破壊するとされている。図1に示すように切り欠きのある試験片に平均引張応力σ₀が作用する時、切り欠き底に発生する最大引張応力σmaxは次式で示される。

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図1:応力集中源と最大引張応力

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式(1)において切り欠き底rが小さくなると応力集中係数は大きくなるので、切り欠き底に発生する最大引張応力σmaxは大きくなる。特に、クラックのように先端rが小さいとL/rの項が大きくなるので応力σmaxは極端に大きくなり破壊に至る。

また、切り欠き深さLが大きいとL/rが大きくなるので最大引張応力σmaxが大きくなる。例えば、円形の穴がある製品には、L/r=1であるから応力集中係数は3となる。平均引張応力が30MPaのときには、円形穴に発生する最大引張応力は90MPa(=30MPa×3)となるので、容易に破壊することになる。

実際の成形品においても応力集中源となる欠陥部が存在するので、応力集中によって破壊することがある。いくつか応力集中源の例を図2に示す。

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図2:成形品形状と応力集中源

段差のある成形品(a)や鋭角コーナのある成形品(b)ではコーナ部に応力集中することで破壊するトラブルが多い。コーナには0.3mmR以上のアールを付けることが推奨される。

ウェルドライン(c)(注)のある表面にはV状の溝が発生する。ウェルドラインに応力集中すると破壊する。大きな応力が作用する箇所にはウェルドラインが発生しないようにゲート位置の選定や肉厚分布を適切に設計するよう留意をしなければならない。

(d)のようにリブやボス基部には気泡が発生しやすい。曲げ応力が作用すると基部から破壊しやすい。気泡の発生を防止するように肉厚設計や成形条件に注意しなければならない。

(e)のようにクラックまたは傷があると応力集中する。ゲート仕上げ跡、切削加工面などでも表面に微細な加工痕が残っていると応力集中するので注意しなければならない。

(f)は成形品内部に存在する異物が応力集中源になる例である。特に、金属異物のような鋭角コーナがある異物が混入していると応力集中によって破壊しやすい。

次回へ続く

執筆者注:

注:型内で溶融樹脂が合流する箇所に発生する筋状のマーク。

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数